鼠径ヘルニア

どんな病気?

鼠径ヘルニア
(点線部分が膨らんでいる部分)

おなかの中にある腸や卵巣などの内臓の一部が、本来ある場所から飛び出してしまい、鼠径部(足の付け根)や陰のうが膨らむ病気です。一般的に「脱腸」とも言われ、20人~50人に1人の割合で発生します。原因は、お母さんのお腹の中にいる時にできた腹膜の出っ張りが、生まれてからも鼠径部に残っていることにあります。乳児期早期(生後2~3ヶ月頃)までは自然に治ることがありますが、生後6ヶ月以降からは手術により治療することが一般的です。

どんな症状?

足の付け根あたりから膨らみ、触ると柔らかくグニュグニュした感じがします。この膨らみ部分をそっと押すと引っ込み、離すとまた膨らみが現れたりするのが特徴です。女の子にも男の子にも起こる病気ですが、男の子の方がやや多く、陰のうまで膨れることもあります。

飯塚病院での治療

鼠径ヘルニアの手術跡
(点線部分が手術による傷)

当院小児外科では、傷が目立たない腹腔鏡手術を行っています。腹腔鏡とは先端に小型カメラを内蔵した細長い棒状の医療機器で、へその中を数ミリだけ切開してこの腹腔鏡を挿入しておなかの中を見ながら、手術を行います。手術は鉗子(かんし)という細い手術器具を使って行います。鉗子を入れるためにできる傷は、針穴ほどの小さなものです。

当院小児外科で行う手術の多くがこの腹腔鏡手術ですが、腹腔鏡を使った手術が難しい場合でも、できるだけ手術による傷が目立たないように配慮しています。

手術後の痛みに対しては、「末梢神経ブロック」という方法を使って痛みを和らげます。これは局所麻酔の一種で、痛みの伝達をさえぎる治療です。

傷を小さく、そして痛みを軽く、ということが実現できれば、手術後の退院が早くなります。鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術では、1歳以上であれば日帰り手術を行っています。この日帰り手術は福岡県内では当院でしか行っていません。(2015年6月現在)

早期発見・早期治療のために

早期発見のサインは、鼠径部が膨れることです。自然に治ることもありますが、稀に脱出した腸が腹腔の入り口で締め付けられ、腸閉塞や壊死を起こすことがあります。これを「嵌頓(かんとん)」といいます。嵌頓ヘルニアになった場合は、緊急手術が必要です。お子さんの鼠径部が固く腫れたり、膨らみ部分を痛がったりするようであれば、すぐに病院を受診しましょう。(TEL:0948-29-8026〔小児外科外来直通〕)

ドクターからのアドバイス

子どもさんの手術となると、親御さんの不安も大きいと思います。飯塚病院小児外科では、小児専門の麻酔医による安全な麻酔の下、傷をできるだけ小さくした手術を行い、入院期間も短くすむように心がけていますので、安心して受診されてください。