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広報誌「飯塚病院だより」 飯塚病院だより No.125

元気のヒント

村井 弘之先生
神経内科 村井 弘之
前回から、脳卒中については脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血という3つの大きなタイプがあることをお話ししました。今回はこのうち、脳梗塞についてお話しいたします。
脳梗塞とは?
 

 脳梗塞とは、脳の血管が詰まることにより脳の組織が障害され、その結果、手足が麻痺する、言葉が出ない、めまいがする、ふらつく、ろれつが回りにくい、などさまざまな症状がでる病気です。

脳梗塞にはどんな種類があるの?

 

 脳梗塞には、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」、「ラクナ梗塞」という3つのタイプがあります。これらについてひとつずつ説明をしていきましょう。
 まず、アテローム血栓性脳梗塞ですが、これは動脈硬化が原因の脳梗塞です。動脈硬化がすすんでくると、動脈の壁にアテローム(粥腫)と呼ばれる物質が沈着し、その結果、動脈の内腔が狭くなります。その狭くなった部分に血小板などがたくさんくっつくことにより、動脈が詰まってしまうのです。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙など、動脈硬化を起こしやすい要素をたくさん持っている人ほどなりやすい脳梗塞です。
 次に、心原性脳塞栓症は、心臓で血液の塊ができ、これが動脈を流れていって脳の血管に突然詰まるものです。アテローム血栓性脳梗塞に比べて主幹部で詰まることが多いため、障害される脳の範囲も大きく、重症であることが多いです。心臓で血液の塊ができる原因はいろいろありますが、最も多いのは心房細動といわれる不整脈です。心房細動は高齢になるほど頻度が多くなりますので、高齢社会で特に増加してくる脳梗塞です。
 最後に、ラクナ梗塞は、主幹動脈から分岐し脳の深部へ血液を送り込む細い血管が詰まるタイプの脳梗塞です。主幹動脈を筑豊本線にたとえるなら、筑豊本線が詰まるのではなく、そこから分岐する幸袋線(ずいぶん昔に廃線になっていますが)が詰まるようなものです。したがって、障害される範囲は小さいため、症状はこれら3つの種類のなかでは最も軽症です。

症状が一過性の場合は?

 

 片麻痺や言葉が出ない、などの症状が出現したものの、数十分くらいで治ってしまった、という場合はどうでしょう。実は、これは一過性脳虚血発作である可能性があります。脳の血管が詰まりかけたけれども、運よく溶けて流れてしまったという場合です。症状が消えたからといって、そのままにしていると、将来、本当の脳梗塞が起きることがしばしばあります。一過性脳虚血発作を起こす人は動脈硬化がすすんでいて動脈が狭くなっていることが多いのです。ですから病院を受診して検査をし、動脈硬化があれば、適切なお薬を飲んで脳梗塞が起きないように予防する必要があります。

脳梗塞の治療は?

 

 脳梗塞が起きて3時間以内であれば、血栓溶解療法という詰まった血栓を溶かす治療を選択することができます。ただし、この治療は両刃の剱であり、脳出血を起こす危険性をもはらんでいます。障害された範囲が広い梗塞の場合は特に出血するリスクが高くなっています。ですから、この治療法を行った方がいいかどうかは緊急時でも慎重に考える必要があります。
血栓溶解療法を行わない場合は、血栓ができにくくする薬剤や脳を保護する薬剤などを使用します。また、できるだけ早期にリハビリテーションを開始します。
急性期を脱したら、血栓ができにくくする内服薬を飲んでいただきます。心房細動がある患者さんは、心臓で血栓ができないようにワーファリンという薬剤を処方します。手足や言語などの機能をできるだけ早く回復させるために、リハビリテーション専門の病院へ転院して訓練をしてもらいます。
 しかし、何よりも大切なのは、はじめから脳梗塞を起こさないことです。そのためには血圧、血糖、コレステロールの管理が重要です。心房細動のある方はワーファリンの内服が必要です。また、タバコは百害あって一利なしです。今日からきっぱりとやめましょう。


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