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ふれあいネットワークインデックス

ふれあいネットワーク No.76 平成22年1月

【特集1】「呼吸器内科部長に就任して」―呼吸器内科の現況および今後の展望について―

呼吸器内科部長 海老 規之


呼吸器内科部長 海老 規之 この度、呼吸器内科部長を拝命しました、海老規之です。飯塚病院には平成3年より研修医として勤務し、研修終了後に国立がんセンター東病院への国内留学を終え、呼吸器内科前部長山本の下でスタッフとして勤務して参りました。今回部長を交代しますが、山本の築き上げた呼吸器内科路線を踏襲しつつ、新しい試みにチャレンジしていきたいと考えておりますので皆様よろしくお願い申し上げます。
 呼吸器内科では、肺癌、肺炎、気管支喘息、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性間質性肺炎(肺線維症)、自然気胸、胸膜炎、膿胸などの疾患を診察しています。睡眠時無呼吸症候群に対しても診断、治療を行っており、こちらの外来は循環器外来で行っておりますが、2回/月は呼吸器内科医が担当しておりますので、詳しくは外来にてお尋ね下さい。外来は常時2人の医師が診療を行っています。呼吸器疾患は急激な酸素化の悪化を来たすことが多く、当院の特色は24時間対応の救急外来より外来から入院へと対応できることにあります。救急搬送されてきた患者対応に救急当番医として呼吸器内科医1人が当たっています。
 疾患別では、肺癌に関しては地域がん診療連携拠点病院として、最新の医療情報のもと最高の治療を目指し、また日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医としてセカンドオピニオンへも対応しております。また、治療不能の末期患者さんに対しても、心理面でのサポート、疼痛緩和、呼吸困難緩和ケア、在宅酸素療法などでQOLを高めるようにしています。喘息の慢性期には、喘息日誌、ピークフローメーターによる自己管理を行い、発作回数・重症度の軽減に努めています。COPDなどの慢性呼吸不全に対しても、呼吸リハビリ、在宅酸素療法を積極的に取り入れ、患者さんの残存肺機能を最大限に活用することでQOL向上に努めています。
 患者さんへのより良い医療を提供すべく、画像診療科、呼吸器外科との連携による迅速診断、感染症チーム、緩和ケアチームによるサポート、集中治療を要する症例については重症疾患チームとのディスカッションによる治療方針決定、リハビリ(呼吸、嚥下など)とも主治医、看護師による定期的なカンファレンスを行っています。呼吸器内科医は急変、呼び出しも多く、リスクマネージメントの観点、また治療医個々の負担軽減も目的として呼吸器内科もチーム制による医療を昨年より試験的に導入しています。
 当科では、これからも院内各科の先生方ならびに地域の諸先生方との連携を深め、また今年作成を予定しています気管支喘息地域連携パスなどによる勉強会を通じて地域との更なる連携を構築していきたいと考えておりますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。
 2月28日(日)には「第3回飯塚胸部レントゲン読影セミナー」を開催いたします。開業医の先生方もご参加いただけるよう日曜日の開催としておりますので、奮ってのご参加を重ねて宜しくお願い申し上げます。
 ご指導・ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。


PROFILE 海老 規之(えび のりゆき)

<資格>呼吸器内科
平成3年3月 宮崎医科大学卒業 平成11年より、第二内科より呼吸器内科へ変名
平成3年5月 飯塚病院研修医 平成18年4月 飯塚病院呼吸器内科診療部長
平成6年4月 飯塚病院第二内科 平成22年1月 飯塚病院呼吸器内科部長
平成6年4月 国立がんセンター東病院に留学    
<資格>
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 日本内科学会総合内科専門医・認定医
日本肺癌学会九州支部評議員 日本内科学会認定医制度指導医
日本呼吸器内視鏡学会専門医 日本呼吸器学会呼吸器専門医
       
■外来スケジュール 受付時間(○初診・●再診) 8:30~11:30
 
山本 英彦   ○/● ○/●   ○/●
海老 規之 ○/●     ○/●  
杉本 幸弘 ○/●        
楠元 規生   ○/●      
山口 央         ○/●
福正 りさ     ○/●    
靍野 広介       ○/●  
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【特集2】今日の前立腺がん最新治療 ~前立腺がんに対する『密封小線源治療』について~

泌尿器科部長 中島 雄一
泌尿器科部長 中島 雄一

1.前立腺がんとその発生率増加

 前立腺は男性の膀胱の末梢側にある胡桃大の実質臓器です。前立腺がんはこの部分に発生する比較的進行が緩やかながんで、かつ年齢と伴に発生率が増加する特徴があり、従来は欧米諸国に多く日本には少ないと言われておりました。近年、高齢化が進行し、かつライフスタイル(特に食生活)の欧米化を背景にし急速に増加してきております。またPSA(前立腺特異抗原)による検診の普及もあいまって、その罹患率の上昇は目を見張るものがあり、西暦2020年には肺がんに次ぐ第2位になると予想されています(図1)。

前立腺がん罹患数 前立腺がんの進行と治療方針

2.前立腺がんの治療について

 前立腺がんの治療は大きく分けて、手術、放射線、ホルモン剤、抗がん剤によるものがあります。このなかで、根治的治療の対象は早期の(Stage A、B)の前立腺がんとされており、手術(開腹、腹腔鏡)と放射線治療(外照射、小線源治療)が一般的にその手段となっていますが、治療法には年齢、合併症、QOL等を考慮して決定します。
 今回ご紹介する前立腺がん密封小線源療法は放射線療法の一つで、米国では1990年代半ばから急速に普及してきており、現在では手術、外照射とほぼ同数の治療がなされております。我が国では2003年9月に第1例目が施行され、現在では約100施設で、計10,000例を超える患者さんが本治療を受けておられます。(図3.4)


3.密封小線源治療について~線源の挿入について~

 非常に弱い放射能を出すチタン製線源のカプセル(長さ:4.5mm、直径:0.8mm、放射性ヨウ素:I-125)を、麻酔下にコンピューターで計算された位置に超音波で誘導しながら50~100個を前立腺内に挿入し病巣へ照射する治療です。穿刺部位は会陰部(陰嚢と肛門の間)から行います。挿入されたカプセルは永久に前立腺内に残りますが、放射線量は約2ヶ月おきに半減し、1年後にはほとんどゼロになります。
実際の挿入は図に示したような形で行なわれます。
(図5.6.7.8)

図5
図6
図7
図8

 

4.前立腺全摘術と比較しての利点

 いずれも根治治療を目指す方法です。同一条件の患者さんであれば、ほぼ同等の治療効果が得られるとされています。二つの治療を比べた場合、小線源治療の手術所要時間は2時間前後と短く、切開をおこなわないため痛みも軽いと言われています。また入院期間も4~5日(手術では2~3週間)と短く、基本的に輸血も必要ありません。また術後の性機能低下や尿失禁も1割未満と発生率が低いといわれており、体への負担が小さく、比較的早く日常生活に復帰できることが、利点として考えられています。


5.小線源治療の適応について

 小線源治療の適応は、前述したように早期で、転移や浸潤が無い限局がん(がんが前立腺内に限られる:Stage A、B)であるとされています。PSA値が高いもの(20ng/ml以上)や前立腺生検の結果組織の悪性度が高いものでは、放射線外照射の併用を行う場合や小線源治療の適応から外れる場合もあります。このほかに前立腺内に入れられる線源の量に規定があるため、前立腺が大きいために施術できない方や、直腸側に置いた超音波装置でコントロールしながら線源の留置を行いますので、直腸疾患を有する方では施術できない場合もあります。このほかにも施術時には麻酔をかけが特殊な体位をとるため、重症合併症が無い事や体位がきちんと取れること等が必要条件となります。


6.副作用と治療後の注意点

 副作用として、早期に見られるものとしては刺入部の皮下出血、尿閉、排尿症状などがあります。長期的な副作用としては、外照射で生じるものよりは軽いとされていますが、放射線による直腸粘膜障害(直腸潰瘍や出血)や尿道狭窄、勃起力の低下があるとされています。注意点としては、ごく微量ではありますが、放射線を出すため一定の期間は乳幼児や妊婦との長時間の接触を避ける必要性があります。また放射性物質を管理している法律により、治療後1年以内は治療者カードの携帯が必要で、かつ1年以内に何らかの理由で死亡された場合は、前立腺を摘出しなければならないという縛りをうけます。


7.放射線の影響について
  「~放射性物質を体の中に入れますが、周囲には影響ないのでしょうか~」

 前立腺内に挿入された小線源から体の外へ出る放射線は非常に弱いもので、ほとんど周囲への影響はないとされています。しかし、身近な人への影響は考えなくてはなりません。退院の際に、患者さんの生活様式(入院時のアンケート調査)から、長時間、近距離で接する方が受ける放射線量を計算し、問題がないかどうかを確認します。一般的には、ごく普通の生活ならば、一緒に生活する人をはじめ周囲の人への害はありません。退院時に渡される指示書を守っていただくことが重要ですが、特に前項の注意点にも一部記載したように、一定の期間は微量ではありますが、放射線を出すため乳幼児や妊婦との長時間の接触を避けること(特にお孫さんをあぐらをかいて座らせることは、特殊な下着を着けなければ約半年は出来ません)や、治療者カードの携帯など十分に注意していただく必要があります。


8.患者さんのご紹介について

 患者さんの紹介につきましては、前立腺がんが生検で確定された、前述したような合併症の無い患者さんで病期がT1,T2の転移のない患者さんのうち基本的にグリソンスコア 3+4以下が適応となります。診断がついている方では、画像情報の他に、こちらで生検組織を確認したいと思いますのでプレパラートを紹介の際に持参させてください。本治療は保険適応になっており、当院では4~5日の入院をしていただきます。また個室管理が必要な為個室料が別途必要なこともご注意ください。
詳しいことが分からなければ、泌尿器科にお問い合わせください。
 最後に、前立腺がん密封小線源治療に対するご紹介は、月曜日又は火曜日にお願いいたします。


泌尿器科外来 TEL0948-29-8033(外来直通)
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『がん治療費概算照会システム』を開発し、当院のホームページで公開しています。

 日本人の死因の第1位はがんであり、その割合は年々増加の一途を辿っています。がん治療にかかる費用も新しい薬剤や手術様式が開発され高額になる傾向があり、医療費高騰や患者不安の大きな要因の1つになっています。そのため、医療現場ではしばしば医療費の額についての問合せが寄せられますが、そのような問合せに応えることが出来る新しいシステム、『がん治療費概算照会検索システム』が副院長の山本英彦医師を開発代表者として、情報システム室、診療報酬・DPC管理室の協力のもと開発されました。 がん治療費概算照会検索システム

誰でも使える簡単操作です

  このシステムは治療費の概算が照会できるという便利な機能と同時に、難しい操作は一切必要が無いという、操作性の高さが特筆されます。照会システムを開くと、目的とするがんのカテゴリーが表示(図1)され、このカテゴリーから“がん種”の選択を行います。対象となるがんの種類は肺がん、胃がん、大腸がん、直腸がん、肝がん、乳がん、卵巣がん、子宮がんです。選択すると治療費概算メニューが表示されます。このメニュー画面から“治療法”や“検査”、“入院日数”を指定、入力すると、治療費の概算が瞬時に表示されます(図2)。また、患者さんの自己負担限度額の概算式も同じ画面で照会が可能となっています。
http://aih-net.com/gaisan/index.shtml
図1:がんカテゴリー
 本システムの開発代表者である副院長の山本英彦医師が、本システムの開発について「第47回日本癌治療学会学術集会」で発表し、優秀演題賞を受賞しました。山本医師は「今回このシステムを開発しようと思ったのは、外来で患者さんからがんの治療費についてよく尋ねられたことがきっかけです。患者さんが手軽に治療費の目安を知ることで、がん予防のための検診受診や早期発見・早期治療に前向きに取り組むきっかけになればと思っています。」
 図2:治療費概要
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漢方あらかると ~その56~

がん患者に対する漢方医学的アプローチ 漢方診療科 岩永 淳
漢方診療科医長 村井 政史 がんに対しては、手術、化学療法、放射線療法など侵襲的な治療が行われます。その過程において、更には終末期に至るまで、いろいろな症状、訴えが出現します。我々医療関係者は、時として無力感にさいなまされることがあります。漢方薬を用いても厳しい状態には変わりはありませんが、明らかに有効な症例が存在することも確かです。また、工夫により様々な症状に柔軟に対応できるため、がん治療の時期から、緩和が主体の末期の時まで使用可能です。今回は、がん患者に対する支援治療としての漢方薬について、一部ご紹介します。

症例

卵巣がんに対し手術、化学療法、放射線療法施行後の71歳女性です。初診の際、全身の皮膚が浅黒く、乾燥してかさかさの状態でした。患者さんは「調子は悪くない」とのことでしたが、脈が弱く、体の抵抗力が弱っていると判断しました。また、皮膚の乾燥は、漢方的には栄養が不足した状態で、補うことが必要な状態です。そこで、十全大補湯を処方したところ、周りの人が驚くほど皮膚が白くなり、元気がでてきたとのことでした。
 漢方医学では、生体は、『気・血・水』が順調に巡ることによって維持されていると考えます。生命エネルギーを『気』、生体を物質的に支える赤い液体を『血』、透明な液体を『水』と言います。気虚とは生命エネルギーが不足した状態です。体がだるい、疲れやすい、きつい、手足が重たい、食欲がない、食事の味がしない、全体的になんとなく元気がない、このような場合、気虚の可能性があります。血虚は、『血』が不足した状態、栄養が不足した状態と考えれば分かりやすいと思います。その場合、皮膚につやがなく、かさかさしている、爪がもろい、筋肉がやせ細る、などの症状が出現します。気力、栄養の衰えた状態、すなわち気虚、血虚、の両方を補う代表的な処方として、今回の十全大補湯があります。十全大補湯に配合されている、人参、黄耆などで胃腸の働きを整えて元気をつけ(『気』を補う)、当帰、芍薬、川、地黄(この4つで四物湯という処方になります)で『血』を補います。
 十全大補湯のように人参と黄耆が配合された方剤は、参耆剤(じんぎざい)と呼ばれます。よく使用される補中益気湯も参耆剤です。この2つの方剤の使用目標は似通っていますが、補中益気湯には『血』を補う作用が少なく、明らかな皮膚の乾燥がある場合は、十全大補湯がよいと言われています。がんに対する治療は非常に侵襲的であるため、十全大補湯や補中益気湯が必要となる場合を多数認めます。
 実際の臨床では様々な症状が出現するため、その都度病態にあわせて処方を変えていくことになります。もし治療に難渋する症例があれば、いつでもお気軽にご相談ください。また当科では定期的に勉強会を開いています。詳細はホームページをご覧下さい。
 ホームページアドレス:http://aih-net.com/medical/depart/kanpo/

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飯塚病院医師往来

「お世話になりました!」
退職年月日 H21.1.31
診療科 外科専修医
医師名 新島 奈津子
(にしじま なつこ)


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飯塚病院 外来当番表

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