飯塚病院 漢方診療科のページ


【号外】ノロウイルスによる急性嘔吐下痢症:こんなときには漢方

目次へ戻る

ノロウイルスによる急性嘔吐下痢症には黄メ湯(おうごんとう)を!

【はじめに】

 この冬、ノロウイルスによる急性嘔吐下痢症が大流行しています。2004年12月にも流行があり、この時当科で管理する老人ホームでも患者さんが21名発生しました。うち20名に黄メ湯(おうごんとう)を服用してもらったところ、48時間以内に17名(85%)の方の嘔吐下痢が消失し、その中にはなんと1回の服用で治った方も4名いました。平均年齢は85歳ですが重症化や遷延化した方はほとんどなく、かなりの手ごたえを感じることができました。
 以上のような経験から、黄メ湯の使用をお勧めします。

【黄メ湯の適応症状】

[1] 悪寒・発熱(熱感)がある(自覚症状です。必ずしも体温上昇は伴いません)
[2] 腹痛が強い 裏急後重がある(排便時のしぶり 肛門の灼熱感)
便、排ガスの臭いが強い

【黄メ湯の非適応症状】

[1] 冷えが強い人(悪寒ではなく) 極端に体力の弱まっている人
[2] 腹痛が軽い 裏急後重がない(水様下痢便がスーッと出てしまう)
便、排ガスの臭いが弱い

【服用上のポイント】

[1] 下痢が主症状で嘔気が軽い場合:黄メ湯単独で服用。
嘔気が強い場合:黄メ湯+小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)を服用。
[2] 2回服用して 悪寒・発熱 腹痛 下痢の改善がない時には効果は期待できません。

<実際の処方例>

(下痢が主で嘔気が軽い場合)

Rp1) 三和黄メ湯エキス細粒(S-35)7.5g/分3 (さんわ おうごんとう)
  毎食前30分又は食間 1日分

(下痢+嘔気が強い場合)

Rp2) 三和黄メ湯エキス細粒(S-35)7.5g/分3 (さんわ おうごんとう)
ツムラ小半夏加茯苓湯エキス顆粒(No.21)7.5/分3 (つむら しょうはんげかぶくりょうとう)
  毎食前30分又は食間 1日分
<服用方法>
最初の1回目をできるだけ早く!(食事に関係なく)
白湯100mlくらい(湯のみ半分くらい)に溶かして服用。
嘔気が強い場合、少量の湯で溶くか、冷たくして少しづつ服用してもよい。
できれば外来ですぐに服用してもらい 効果があるかどうか確かめるとなお良い。
(効果は20-30分くらいで現れるはずです)

<保険での適応病名>
 三和黄メ湯エキス細粒、ツムラ小半夏加茯苓湯エキス顆粒ともに病名は『急性胃腸炎』でよいです。
 小児には使用経験がありません。苦い薬なので服用してくれない可能性が高いのですが、目安は乳児:1/3量、幼児半量、小学校低学年:2/3量、小学校高学年・中学生:成人量です。
Vol.6「感冒性下痢・嘔吐下痢症」の方もぜひご覧ください。

飯塚病院 漢方診療科
 福岡県飯塚市芳雄町3-83  TEL:0948-22-3800 / FAX:0948-29-8075