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010.月経困難症:こんなときには漢方

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●機能性月経困難症(特に月経痛に対して)

腹や腰つっぱり痛む  ツムラ芍薬甘草湯しゃくやくかんぞうとう(ツムラ68)
下腹部が張るように痛む  ツムラ当帰建中湯とうきけんちゅうとう(ツムラ123)
冷え症でむくみや水様帯下あり  ツムラ当帰芍薬散とうきしゃくやくさん(ツムラ23)

【薬の解説】

1. 芍薬甘草湯
月経時に腹や腰がきゅーっと突っ張って痛む、腹直筋の緊張がある
2. 当帰建中湯
月経時に下腹部を中心に張って痛む、下腹部の腹直筋の緊張がある)
3. 当帰芍薬散
手足が冷えやすい、むくみやすい、水様帯下、上腹部の振水音→「水」の異常
振水音 腹壁を揺さぶったり体を動かしたりするとぽちゃぽちゃと音がする
鎮痛効果というより“体質改善”を期待

<次の一手>

 月経痛は温めると軽快し、冷やすと悪化することが多い
 →漢方医学的には寒(かん=冷え)が存在する!
 →三和加工ブシ末(S-01)0.5〜1.0g/1回 追加!
最初から附子を含んだエキスもあるので必要に応じて使用する
芍薬甘草湯+附子 三和芍薬甘草附子湯さんわしゃくやくかんぞうぶしとう(S-05) 1.5g/1包
当帰芍薬散+附子 三和当帰芍薬散加附子さんわとうきしゃくやくさんかぶし(S-29) 3.0g/1包
寒がある時は、特に白湯に溶いて温かいうちに服用するのがコツ!!

<実際の処方例>
例1  Rp1 ツムラ当帰芍薬散7.5 3×毎食前
Rp2 ツムラ当帰建中湯2.5+三和加工ブシ末0.5 疼痛時に頓用(1日3回まで)
★痛みが出現しそうだと感じたらひどくなる前に服用した方が効果的!
例2  Rp1 三和当帰芍薬散加附子9.0 3×毎食前  (平常)
Rp2 三和芍薬甘草附子湯4.5 3×毎食前  (月経前後)

 痛みに対して鎮痛剤を常用していると胃腸障害をきたす危険性などがあるが、漢方薬はかえって胃腸の働きを整えてくれたり、冷え症やしもやけが治ったり、肌がきれいになったりと嬉しい「おまけ」がつくことがしばしばある。

<適応病名>
 芍薬甘草湯の効能又は効果は「急激におこる筋肉の痙攣を伴う疼痛」とされ、「急激におこる筋肉(おもに下肢)の痙攣性疼痛ならびに腹部仙痛を訴える場合に用いる」とあります。当帰建中湯は「月経痛」「下腹部痛」、当帰芍薬散は「月経不順」「月経困難」の適応病名があります。

(文責:漢方診療科 中村佳子)

西洋医学的な発想 〜月経困難症〜

<定義>

月経時に下腹痛、腹痛など骨盤を中心とした耐えがたい疼痛を主体とし、嘔気、嘔吐、下痢、頭痛、悪心などの随伴症状のため、社会生活に支障があり、医学的治療を必要とするものをいう。
<症状>
下腹痛、腰痛、嘔気、嘔吐、胃痛、乳房痛、便秘、下痢、めまい、精神不穏、食欲減退
<分類>
(1) 機能性月経困難症(原発性月経困難症)
頚管の狭小、prostaglandin(PG)の過剰産生等が原因とされる。
痛み以外に多彩な随伴症状が出現することあり。
(2) 器質性月経困難症(続発性月経困難症)
子宮内膜症、子宮腺筋症などが原因で起こることが多い。
まれに子宮筋腫、骨盤内癒着症、子宮奇形でおこる。
<治療>
(1) 非ステロイド系抗炎症薬(メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、ロキソプロフェンナトリウム等)
PG合成阻害剤である非ステロイド系消炎鎮痛剤が第一選択。
(2) 排卵抑制薬(ピル、低用量ピル)
(3) 精神安定薬(ジアゼパム等)
(4) GnRH誘導体など
子宮内膜症、子宮筋腫などの器質性疾患がある場合は原疾患への治療を行う。
治療は鎮痛剤のみと考えられがちであるが、痛み止めから、ホルモン的な長期内服のものまで、年齢、ライフスタイル、原疾患の有無、挙児希望の有無により、治療方法にはバリエーションがある。

(文責:産婦人科 松岡良衛)

〜 部長のたわごと(10) 血の巡りを良くする話 〜
 漢方医学的な体内循環要素の気・血・水の中で、赤い液体が血(けつ)です。血の異常をお血(おけつ)といい、「血がサラサラ流れない」状態を意味し、つまりは末梢循環不全を伴うような病態、といえます。お血の兆候として、皮膚・粘膜の異常(しみ、目の隈、舌・歯齦・口唇などの暗赤色)、皮下出血し易い、静脈瘤や毛細血管拡張、痔核などがあります。お血兆候は下腹部にも出現し易く、下腹の腹壁にしこりを伴う圧痛が出現します。女性の月経周期に伴う異常や病態悪化もお血が関与し、性周期に伴って症候が変化する皮膚疾患や神経症、その他、種々の疾患にお血治療薬(駆お血剤=くおけつざい)が使われます。お血病態は動脈硬化や虚血性の諸疾患にも関連が深く、血液粘度の上昇や、実態顕微鏡で毛細血管における赤血球の凝集塊や血流障害が観察されますが、これらの所見は駆お血剤投与で改善します。“血液サラサラキャンペーン”の治療になくてはならない治療薬、といえそうです。
 月経時痛もお血関連病態ですが、寒(かん)の関与も高頻度で、当帰建中湯や当帰芍薬散といった主に陰証(冷えが主体の漢方医学的病態)に適応となる駆お血剤に、熱薬で鎮痛効果を伴う附子を加えて治療するのが効果的となります。
(文責:漢方診療科 三潴忠道)

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