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今回はアトピー性皮膚炎の症例についてご紹介します。
患者さんは26才の女性で、幼少期に発症したアトピー性皮膚炎の方です。小学校時代に一度増悪しましたが、それ以降は経過良好でした。就職を契機に湿疹が悪化し、種々の治療を受けましたが寛解増悪を繰り返し、しだいに増悪するため当科を受診されました。初診時、皮膚が乾燥し、掻痒感が非常に強かったことと、仕事の都合で早期に改善する必要があったため、入院加療を行いました。入院時、顔は赤ら顔で皮膚は乾燥肌、関節屈曲部を中心として掻爬痕を多数認め、排便は3日に1回程度の便秘症でした。検査値では好酸球が1066/mm3と増加し、ダニ、ハウスダストに対するアレルギーと米、ソバなどに対する食物アレルギーが見られました。
漢方医学的には顔を中心として熱感があると同時に、皮膚は全体に乾燥肌で皮膚掻痒感が強いため、温清飲を開始しました。しだいに皮膚の掻痒感や顔の赤みは改善してきましたが、皮膚の枯燥(カサツキ)が十分改善しなかったため、温清飲に含まれる皮膚を潤す作用のある四物湯を増量したところ、皮膚の枯燥(カサツキ)も改善傾向がみられ、退院時には好酸球が322/mm3まで改善しました。現在も外来通院中ですが、経過は良好です。
ところで現在、アトピー性皮膚炎の増悪因子である食物アレルギーは腸内カンジダの異常増殖が一因といわれています。その増殖因子と言われる砂糖、果物、肉、みりんなどを除き、玄米、菜食を中心とした『和漢食』を当科では治療の一環として取り入れています。『和漢食』により便通を改善して、腸管内を常にきれいな状態に保つことがアトピー性皮膚炎の治療にとって有効ではないかと考えているからです。この症例も食物アレルギーが存在し、便秘症であったことより『和漢食』を併用しました。その結果排便は毎日見られるようになりました。漢方薬の効果もあったとは思いますが、わずか1ヶ月足らずの間に著明に皮膚症状が改善した要因としては食事の影響もあったと考えます。同様に食物アレルギーを認める患者さん4人に漢方薬と『和漢食』を併用した治療を行っておりますが、経過は良好です。治療に難渋するアトピー性皮膚炎の症例に対しては食事内容についても考慮すべきではないかと考えています。
(貝沼) |