総診日記
概要
総合診療学会の提唱する後期研修プログラムに準じた研修内容を実施しています。
これまでの実績としては、過去5年間に29名が在籍しました。後期研修の教育担当として、現在スタッフ9名が在籍しております。また当科後期研修を修了した医師は、他の施設において総合内科医、家庭医、腫瘍内科医、救急医、内科各専門科医(リウマチ膠原病、呼吸器)精神科医、小児科医、などの多彩なキャリアパスを辿っています。
以下に、総合診療学会の提唱する後期研修カリキュラムの概要(総合診療学会HP記載内容と同様のもの)、および、当院での実施内容について記載しました。
約一年後には家庭医プログラムと融合を図る予定です。
目的
- 病院総合内科医の育成
- 将来は診療所医を目指しているが、内科専門医相当の急性期病院総合内科の経験を求む医師の育成
当科の特徴
- 未診断で救急内科入院患者に病棟診療を提供しているため、病院総合内科医にとって最も重要な判断能力が獲得できる。入院患者数は、年間700名を越える。
- ショック、電解質障害、意識障害、発熱・炎症、腹痛、については、診断プロセスと同時に行うべき内科マネージメントの遂行能力を獲得できる。
- 感染症診療については標準的診療を重視した研修を行っている。患者数、疾患の幅ともに豊富なこと、スタッフがICTであること、充実した検査室との連携が良好なことから、総合内科医に充実した研修を提供できる体制。
- 病棟診療、および救急外来内科診療に加えて、初診内科患者への総合内科診療の研修(希望者限定)も行える体制になった。
- 初期研修における内科を請け負ってきた経験から、学生・研修医教育の技能・経験を獲得できる。
教育を提供することは、当科の後期研修医の義務でもある。 - 初期研修医、後期研修医、スタッフで構成するチーム主治医制を取り入れている このため後期研修医は、教育するという学習機会があると同時に、スタッフには相談・教育指導を得られる機会が多い。
診療内容
- 年間4万名受診する救急外来から90%以上が未診断の状態で入院する、急性期内科患者の病棟診療
- 救急外来における内科診療
- 上記の現場において、診療のみならず学生・初期研修教育を行う
- 検診センターにおける検診者への結果説明とマネージメント
- 総合内科外来診療(希望者限定)
獲得可能な経験、技能、手技
- 抗生剤の適切な選択と適応
- 電解質障害のマネージメント
- 不安定なバイタル状態へのマネージメント
- 膵・胆道系炎症のマネージメント
- EBMの概念と方法を遵守した診療の習得と応用
- 患者、家族、他職種との連携を重視した対人能力
- 初診内科外来に必要な経験と技能
後期研修カリキュラムの概要
a)内科を中心とした幅広い標準的診療能力
頻度の高い健康問題について、幅広い知識と高い診断能力を身に付け、診断がついていない患者に関して、適切にマネジメントができること。侵襲の比較的小さい手技に関しては自ら行い、専門診療科・他の医療専門職と連携を取りながら、主治医として患者の診療が行えること。
- 高い診断能力(診断のついていない患者のマネジメントを含む)
- 専門診療科との連携による適切な患者マネジメント(多臓器にわたる障害・問題を抱える患者のマネジメントを含む)
- 頻度の高い疾患の診断と治療(内科疾患以外も含む)
- 心理・社会的問題を抱えた患者のマネジメント
- 高齢者ケア、緩和ケア
- 頻度の高い疾患から診断困難な患者まで含めた入院及び外来における一般内科の診療
- 救急外来における1次2次救急
- 入院及び外来における患者マネジメント(病歴聴取、身体診察、識別診断、標準治療及びコンサルテーション)
- 感染症診療
- 終末期医療
- 心身医学的アプローチ[7]多臓器にわたる障害・問題を抱える患者診療
b)患者の最善利益を考え、問題に対処できる能力
患者にとっての最善の利益を提供する為に、医学的な整合性や有効性・効率、患者の背景情報や好み、さらには、家族や地域社会との関連も踏まえたうえで、様々な視点から臨床上の問題を的確に発見し、その問題に対して適切な対処をする。さらに、患者にとっては非日常である医療の中で、患者を支援する立場を貫く。
- 患者が抱える生物心理社会的問題を発見する能力
- 情報の収集と吟味に関する能力
- 問題への対処に関する能力
- 症例カンファランス
- 個別の臨床判断をテーマとした症例カンファランス
- 臨床疫学/EBM的な視点からの臨床判断に焦点を当てた症例カンファランス
- 臨床推論に焦点を当てた診断プロセスに関する症例カンファランス
- 多職種で行う院内症例カンファランス
- クリニカル・ジャズ(振り返りによる洞察とEBMを統合した症例検討)
c)対人関係スキル及びコミュニケーション能力
患者とその家族、ならびにその患者の診療にあたる医療者と効果的な情報交換を行い、診療チームを形成するために、洗練されたコミュニケーション能力、対人関係スキルを有する。
- 職業人としての自覚に基づき、患者及び家族と良好な関係を構築し 維持できる。
- 効果的なコミュニケーションスキルを用いて、積極的な傾聴、情報 収集、情報提供が行え、行動変容を促すことができる。
- 診療チームのメンバーあるいはリーダーとして、施設内の他の医療 専門職と効果的な協力関係を築ける。
- 施設外の他の医療機関あるいは保健・福祉関係と効果的な情報交換、建設的な意見交換が行える。
- 医師患者関係におけるコミュニケーションの重要性を省察できる。
- 日々の診療のなかで、指導医や他の医療専門職から率直なフィードバックを受け、問題点を自ら改善できる。
- Bad News Telling(悪い知らせ)を自ら経験し、終了後に指導医とともに振り返りを行う。
- 診療場面を振り返り、難しいと感じた患者・家族との会話や医療者とのやりとり、そのときに生じた自分の気持ちを言語化して伝え、同僚や指導医と意見交換する。
d)組織としての医療機関に貢献できる医療マネジメント能力
患者中心の医療を実践し、地域の医療を担う組織としての医療機関をささえるため、院内のさまざまな種類のチームにおけるマネジメントに貢献する。社会全体における医療システムの位置づけを理解し、限られた医療資源を有効に活用する。
- 病院管理や経営、医療連携などの中央部門への積極的な協力ができる。
- 医師間や病診・病病連携、そしてMSW(SW)などの多職種間の調整ができる。
- 保険診療の理念に則った医療が実践できる。
- 下記部門のうち、可能な範囲で貢献できる。
- 各種の病院委員会
- 危機管理・安全管理部門
- 地域医療連携部門
- 病院内での勉強会
- メディア対応部門
- 診療相談・苦情対応部門
- 地域社会との連携部門(警察や消防、地方自治体、自治会等)
- 保険診療監査部門
- チーム医療・マネジメントに関連する院内横断的部門への参加
- チーム医療・マネジメントに関連する研修会への参加
e)臨床現場での教育能力
学生・研修医に対する医療現場における教育提供が病院総合医の重要な責務であることを認識し、教育を省察的に実践することを通じて、病院内教育環境・風土の改善に貢献する。
- 提供する教育内容の妥当性、および教育方法の有効性について、吟味・改善が行える。
- 医療職・社会人としての適切な振る舞いを学生・研修医に示すことができる。
- 一方的な伝達にとどまらず、学習者の能力を引き出すことを意図した教育が行える。
- 教育環境・風土の重要性を理解し、その改善・向上に積極的に参画する。
f)実践を振り返りながら学習を継続出来る能力
患者を、社会的背景を持つ一人の人間として捉え、その健康に関わる体験を共有し、患者とともに悩みつつ、自らの医師としての行為に対して、常に省察的な態度を持って診療に当たる。
- 自らの医師としての行為に対して、常に振り返り、また患者からの評価を受け入れながら、自らの改善点を見つけることができる。
- 医療サービスを公益サービスとして認識し、患者が求める健康に関する要望と医療専門職の視点から患者の肩甲にとって必要と考えられる事柄を汲み取る事ができる。
- 患者や家族に対して、常に謙虚な姿勢で臨み、医療に関する事実情報を適切に伝えることができる。
- 医療の不確実性や有害性について常に考慮する態度を持つ。
- 医療安全管理や教育目的の症例検討会など(例:Mortality and Morbidityカンファレンス)、行った医療行為について振り返る機会に参加する。
- 病院のみでの研修でなく、生活や社会など患者さんの背景が感じやすい様々な場(診療所や在宅診療等)での研修を一定期間に行う。


