Ⅰ 一般目標
耳鼻咽喉科学では、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚などの感覚器官と発声、嚥下、構音、顔面表情などの運動器官を取り扱う。耳鼻咽喉領域は患者さんにとって生活の質に大きく関係しているので、後期研修では初期研修以上に一歩踏み込んだ患者へのアプローチが必要となる。耳鼻咽喉科感覚器・運動器に対して当院で行っている様々な診断・治療を習得し、さらに患者への心理的アプローチ、神経学的アプローチの重要性を認識して、現在の社会生活のニーズにあった高次元の治療効果を目指すことを目標とする。地域医療支援病院に認定されたことを機に、外来診療偏重の耳鼻咽喉科診療の実情から手術症例の増加の方向へ診療内容の変換が期待されている。さらに筑豊地域の中心的な救命救急センターを併設しているため関連科と協力しながら外傷・災害外科領域にも関心を持っていただきたい。
Ⅱ 行動目標
耳鼻咽喉科後期研修での研修内容は以下の通りである。
- (1)臨床医として必要な基本的事項と専門的事項
- 臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。
- 医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知識・技能・判断力・態度
- 耳鼻咽喉科で緊急を要する疾患・病態、特に気道の障害や急性聴覚・平衡障害に対応できる臨床的能力
- 耳鼻咽喉科感覚器障害患者や悪性腫瘍患者とその家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理解し、適切に対処できる能力
- 患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行え、病態を易しい言葉で分かり易く説明し納得を得ることができる能力
- 常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度(倫理観・良識)
- チーム医療の原則を理解し、言語聴覚士などパラメディカルスタッフや他科医師など、他の医療メンバーと強調できる
- 適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができる
- 診療録やその他の医療記録を適切に作成できること
- 医療に関する法令を遵守する
- 自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態度
- 自己教育の継続
- (2)保険診療に関する知識の修得
- 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容について理解する。
- (3)リスクマネージメント
- 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じて知識を深め、即座に対応する。
- (4)臨床研究
- 日本耳鼻咽喉科学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、院内の研究会、症例検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。
- (5)認定医(専門医)資格の取得
- 後期臨床研修開始とともに日本耳鼻咽喉科学会会員となり専門医取得の手続きを行う。後期研修開始後5年経過した時点で専門医試験の受験資格が得られる。
Ⅲ 方略
研修期間は3年間を原則とする(麻酔科をはじめ一般外科・関連科を一定期間ローテーションすることを勧める)、もちろん応募者、耳鼻咽喉科部長、後期研修プログラム委員会との協議で希望を十分に聞きながら綿密な後期研修計画を練る。
研修方法の概要
研修初期は上級医とマンツーマンで外来と病棟診療にあたる。初期研修で得た知識と技術をもとにして、耳鼻咽喉科疾患の特殊性をふまえつつ耳鼻咽喉科医としての研修を行う。外来は原則として初診と再診を1コマづつ担当するが最初の3ないし6ヶ月は上級医と複数で担当する。
- 1年目
- 耳鼻咽喉科の基礎知識と基本的外来処置と診療、気管切開、扁桃摘出術などの手術研修
- 2年目
- 聴覚・平衡障害、音声・言語障害、悪性疾患など様々な疾患の診断と治療を研修。鼻内視鏡手術、頸部手術、唾液腺手術などさらに高度な手術を研修
- 3年目
- 急性高度難聴、進行癌など難治疾患の治療にも主治医として診断・治療にあたる。頸部郭清術、鼓室形成術なども術者として研修する。興味のある分野を選んで臨床研究センターで基礎実験を行うことも可能である。
カンファレンスなど
- 医局員全員により入院患者のカンファレンスと回診を週に一回行い、受け持ち患者に関してプレゼンテーションを行う
- 臨床カンファレンス:興味ある症例や臨床研究に関して医局員全員で交代に発表する。
Ⅳ 評価
- 初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。さらに日本耳鼻咽喉科学会専門医申請のために研修記録も記録しておく。
- 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。
- 後期臨床研修1年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて2年次以降の研修計画を修正する。
- 後期研修プログラム責任者らとの共同評価。


