飯塚病院 中央検査部

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血液検査 糖尿病

糖尿病とは

 糖尿病は、すい臓でインスリンが作られない(インスリンの分泌の不足)、あるいは作られていても、肝臓、筋肉、脂肪組織でインスリンの作用が低下している(インスリン作用不足)状態であるため、高血糖を引き起こし、全身の血管を傷害する病気です。

検査および診断

【診断】<75g糖負荷試験の判定区分>

判定区分 正常型 境界型 糖尿病型
空腹時血糖 110mg/dl未満 110-125mg/dl 126mg/dl以上
糖負荷2時間後 140mg/dl未満 140-199mg/dl 200mg/dl以上
[耐糖能異常]

境界型や予備軍とも言われますが、糖負荷試験で糖尿病型にも正常型にも属さない血糖値を示す場合です。糖尿病の三大合併症は進行しにくいのですが、動脈硬化症は糖尿病と同じように進行します。具体的には、食事療法、運動療法による肥満の解消、禁煙、必要に応じて高血圧、高脂血症の治療を行います。

【検査】

[1]糖負荷試験:空腹時の血糖値を測った後、75gのブドウ糖を溶かした水を飲み、その後、30分後、1時間・・・2時間と血糖値を測り、血糖値の変動を調べる検査です。空腹時とは、検査時間より10時間位前から何も食べてない、糖質を含むものを飲んでいない状態をいいます。空腹時の血糖検査だけでは見落としてしまうような糖尿病や耐糖能異常を見つけることができます。

[2]血糖値検査:血液中に糖(ブドウ糖)がどのくらい含まれているかを調べる検査で、食事、運動、ストレスによって大きく変動します。血糖値コントロールは空腹時血糖値130mg/dl未満、食事2時間血糖値180mg/dlにしましょう。血糖値は1日中変動していますが、健康な人はだいたい60~130mg/dlの範囲内に保たれています。

[3]尿糖検査:尿中に排出されたブドウ糖のことで、血糖値が約180mg/dlを超えると尿中に糖がでてきます。

[4]グリコヘモグロビン(HbA1c):血液の赤血球の中にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。血糖値が高いと、グリコヘモグロビンも高くなります。一度ヘモグロビンと結合したブドウ糖は血糖値が下がっても離れないので、過去1~2ヶ月の血糖値の平均状態を反映します。1ヶ月に1回測定することができ外来通院時の血糖コントロール状態を把握できます。

[5]血中インスリン(血中IRI):すい臓から分泌されホルモンの一種です。食べた物はブドウ糖に形を変えられて血中に吸収されますが、インスリンはそれを筋肉組織などに取り込むことで血糖が一定値以上にしないようにしています。

[6]血中Cペプチド(血中CPR):インスリンは、すい臓のβ細胞で作られますが、実は、このときCペプチドという物質も一緒に作られています。インスリンとCペプチドは、同じ量が作られ、同じ量が分泌されるのです。Cペプチドを検査すれば、自分の体で作られた、インスリンのみを推定できるというわけです。

[7]抗GDA抗体抗:GAD抗体は、インスリンを出しているすい臓のβ細胞を自ら攻撃している抗体でⅠ型糖尿病の原因の1つの自己免疫反応を起こします。

[8]自己血糖測定:血糖値は食事や運動によって変動するため、受診されたときの検査だけでは普段の状態はわかりません。そこで、自宅で血糖値や尿糖を測っていただきその結果を診察時に持ってきていただくと、普段の状態がわかり、治療に役立ちます。

  • 血糖検査は指先を小さな針で刺して血液を出し、これを手帳サイズの小型簡易測定器で計ります。
  • 尿糖検査は尿中にブドウ糖があると色がつく試験紙で行います。

合併症

 高血糖の状態が慢性に経過し、長く放置すると目、腎臓、神経などに合併症が出てきます。また、感染症にもかかりやすくなります。

[1]糖尿病神経障害
(末梢神経/自律神経)
[2]糖尿病網膜症
[3]糖尿病腎症
[4]糖尿病性昏睡
(高血糖/低血糖)

診断から経過観察までの流れ

[1]スクリーニング
尿検査・血糖検査
[2]確定診断
ブドウ糖負荷試験・ヘモグロビンA1c
[3]合併症診断
血糖・尿蛋白・微量アルブミン・BUN・クレアチニン
[4]治療経過の観察
尿糖・血糖・ヘモグロビンA1c

治療

 糖尿病は、完治する病気ではありません。しかし、適切な治療を続ければ治ったのと同じ状態を保つことができます。すなわち、食事療法や運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法を行うことによって、血糖、血圧、血清脂質(コレステロール、中性脂肪)、体重を良好に維持すれば合併症を起こすことなく、健康な人と同じ生活をすることができます。糖尿病治療の目的は、生涯にわたって適正な治療を続けることによっていろいろな合併症(神経障害、網膜症、腎症、心筋梗塞、脳梗塞など)を予防することにあります。糖尿病があっても健康な人と変わらない生活の質(QOL)の維持、健康な人と変わらない寿命を全うすることです。

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