ストレスで折れぬために レジリエンス

ストレスで折れぬために レジリエンス

  • 2019.2.13
リエゾン精神科
部長 光安博志 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



ストレスで折れぬために レジリエンス

西日本新聞 2017年8月2日朝刊掲載

Q. 近ごろ、「レジリエンス」という考え方があると聞きました。どのような考え方なのでしょうか?

A. 「レジリエンス」とは、ストレスへの対応能力の考え方の一つで、「個人が逆境に直面したときに、内的・外的保護要因との相互作用の中で、適応的な結果を導く動的な過程」と定義されています(1)。分かりやすく言うなら、「精神的な回復力・抵抗力、あるいは上手く適応する能力」のことです。
 レジリエンスの能力は、固定されたもの(変化しないもの)ではなく、環境の相互作用や支援により、誰もが学習して身につけることができるものです。この能力を身につけることで、多少のストレスでは「気持ちが折れない」、または「折れそうになっても気持ちを戻すことができる」ようになります。
 ストレス社会とも言われる現代は、多くの方が日常生活の中で大小さまざまなストレスに遭遇します。そして、同じストレスを受けたとしても、感じ方には個人差があります。そのような日常生活の中で個人のレジリエンスを高めるためのコツをご紹介します(2)。
レジリエンス
 【サポートを求め、与える】
 周囲の方に助けを求めることができる「柔軟さ」と、周囲をサポートすることで感じる「貢献している感覚」を持つことが大切です。
 【模範となる人(ロールモデル)から学ぶ】
 周囲の方や歴史上の人物など、ロールモデルがどのように逆境を乗り越えているのかを学び、取り入れてみましょう。複数のロールモデルを持っておくとよいでしょう。
 【運動・身体活動を行う】
 身体活動は、軽度のうつ病に有効であると報告されています。「心身相関」という言葉で表されるように、こころとからだは影響しあっています。ストレッチなどの運動習慣を身に付けましょう。
 【状況を上手に受け入れる】
 自分で変えることができない事実は「事実」としてありのまま受け入れましょう。そして、自分で変えることができることにエネルギーを向けながら、その「事実」から未来へ繋がる何らかの学びを得るように取り組んでみましょう。
 【自分自身への気づき】
 どのような状況に対してストレスを感じるのか? ストレスに対してどのような影響が現れるのか? など、ご自身の特徴やパターンに気づくことができる、すなわち自分を「客観視」できるようになることを目指しましょう。
 レジリエンスは、ストレスに対する対応方法の一つです。そのほか、ご自身が置かれている環境の調整や周囲の方への相談という対応方法も有効です。
ご自身にあった対応方法を実践するためにも、まずはご自身で「いまストレスの影響を受けている」と気付くことが大切です。ぜひご自身のこころとからだの声に耳を傾け、日々変化する状態に気付けるよう取り組んでみてください。
 心理的ストレスによる苦痛が強く、ご自身で対応できないような場合は、無理をせずに公的機関や医療機関へ相談しましょう。

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