前立腺がん

自覚症状なくても検診を 前立腺がん

  • 2018.11.14
泌尿器科
部長 中島雄一 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



前立腺がん

西日本新聞 2015年12月23日朝刊掲載

Q. 最近、前立腺がんが増加していると聞きました。どのような性質のがんなのでしょうか?

A. 前立腺はぼうこうの出口に相当する部分に尿道を囲むように存在する、くるみ大程度の臓器で、左葉と右葉に分かれています。
 近年、日本人男性の前立腺がんが急速に増えています。2025年には肺がんや大腸がんを抜き、がんの中で患者数は1位=グラフ、死亡原因では2位になると予想されています。
部位別がん罹患数  しかし20年ほど前と比べ、前立腺がんの生存率は大幅に上昇しています。1995年ごろには5年生存率が66.8%だったのですが、2005年ごろは 93.8%です。これは後述する「PSA検査」の普及により、前立腺以外に広がっていない「限局がん」の段階で発見される割合が増えているためです。現在の5年生存率は、限局がんであれば95%超、転移していても45%程度です。
 前立腺がんにかかる割合は人種差があることが知られています。黒人に1番多く、白人、黄色人種の順番です。地域差もあり、日本は北米地域の10分の1ほどです。欧米型の動物性タンパク質や脂肪の摂取量が多い高カロリーの食事は、伝統的な日本型の食生活に比べ発生率は上昇するとされています。近ごろは日本人の食事も欧米化しており、注意が必要です。

 根治治療が可能な早期の前立腺がんには無症状なものが多く、局所進行して初めて血尿や排尿障害などが見られます。全身症状(骨の痛みや貧血)が見られると、やや治療の時期を逸していると考えられます。
 50歳を超えると罹患率が上昇します。検診は、無症状または軽い排尿異常がみられる程度の段階で受けることが肝要です。
 検診は「PSA検査」が最も一般的で、感度も高いとされています。血液検査だけの簡単な検査法で、血液中にある前立腺に特異的なタンパク質の一種「PSA」の値を測定します。前立腺に異常があると血液中に大量に放出されて濃度が高くなります。検査の数日前からは過度の飲酒や射精は避けたほうが無難です。
 検診で疑いがあった場合は、組織を採取して前立腺生検を行います。進行したがん以外では、画像による確定診断は困難です。
 前立腺がんが見つかった場合、一般的に手術が可能なのは高度の合併症がない75歳以下の方、または、まったく合併症がない80歳までの方です。
 特に筑豊地区では他地区よりも若年層の検診受診率が低く、進行した状態でがんが見つかる例も少なくありません。なるべく若いうち、自覚症状のないうちに検診を受けられることをお勧めします。

 

お知らせ
  • 前立腺がんの講演会を開催(2018/12/05)
    飯塚病院では、地域の保健・介護関係者の皆さんを対象に「筑豊地区地域保健研究会」を開催しています。
    12月5日(水)には、当院の泌尿器科 部長より「前立腺がん -健診・治療のサポートについて-」をお伝えします。参加無料・申込必要です。ぜひお越しください!(詳細はコチラ

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