乳がん

壮年期に罹患しやすい乳がん

  • 2018.10.17
外科
医長 武谷憲二 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



乳がん

西日本新聞 2017年11月1日朝刊掲載

Q.乳がん手術後に乳房の膨らみをつくる「乳房再建術」という治療があると聞きました。
乳房再建術について教えてください。

 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターによると、乳がん患者は年々増加傾向にあり、年間9万人が罹患すると予想されています。女性のがん罹患者数では乳がんは1位で、女性の10~12人に1人は乳がんに罹患すると言われています。40~50代の壮年期に罹患しやすいという特徴もあります。

 乳がんと診断され、精密検査で早期乳がんの方には根治術として手術をお勧めしています。乳がん手術の方法として、大きく乳房温存手術、胸筋温存乳房切除術の二つがあります。温存手術では乳房の膨らみは維持されますが、乳房切除術ではなくなってしまいます。患者さんは、乳房の膨らみがなくなることで他者の目が気になり温泉に入れない、バランスが悪いなどの不便や不都合を感じます。乳房の膨らみをつくる治療として「乳房再建術」を考慮します。
 当院では形成外科チームと協力しながら再建術を行っています。大きく二つの方法があり、自家組織を用いた再建法と人工物(インプラント)を用いた再建法です。
 自家組織による再建法は自分の皮膚や筋肉を移植し、腹直筋や広背筋などを利用して乳房の膨らみをつくる方法です。人工物による再建と比較し、自分の組織であるため、なじみやすいというメリットがありましたが、手術で自分の組織を採取することから、身体的な負担が大きいというデメリットもありました。

 一方、インプラントによる乳房再建は身体的負担が少ないというメリットがあります。具体的には大胸筋の下に組織拡張器(エキスパンダー)を挿入します。医療用の水風船みたいなもので、少しずつ膨らますことで、皮膚が進展していきます。6~8ヶ月かけて膨らませ、皮膚が進展した時点で組織拡張器を除去し、シリコーン製のインプラントを挿入します。乳頭・乳輪形成に関しては、後日、希望に応じて手術します。

インプラントによる乳房再建

 乳がん手術と同時に組織拡張器を挿入する方法が1次再建、乳がん手術とは別の日にエキスパンダーを挿入する方法が2次再建です。1次再建は手術回数が少なくて済み、2次再建は再建方法に関して考える時間ができます。再建時期も患者さんと相談しながら決めていくことが重要です。
 2013年にインプラントによる乳房再建術が保険適応になり、徐々にですが、当院でも乳房切除後の再建術数は増えてきております。乳房でお困りの方は相談ください。

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