食物アレルギー

  • 2018.07.04
小児科
医長 田中 祥一朗 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



食物アレルギー

西日本新聞 2017年3月15日朝刊掲載

Q. 子どもの食物アレルギーが心配になり、念のために血液検査をしたら、多くの食品で陽性の結果が出ました。すでに口にしている食品も含まれています。今後は食べない方がいいのでしょうか。

A. 本来栄養となるはずの食物たんぱくを異物(敵)とみなして免疫が過剰反応してしまい、じんましんや呼吸困難などの症状が起こることを食物アレルギーといいます。
 今回のご質問のような不安を感じておられる方が多いと思いますが、「陽性=食物アレルギー」ではなく、検査結果はあくまで傾向を示すものです。血液検査や皮膚テストだけでは食物アレルギーの診断は難しく、陽性とされた食品でも食べて症状が出ない場合にはそのまま食べていただいて問題ありません。
 子どもは食物からさまざまな栄養を摂取し、成長します。食物アレルギーを心配するあまり、多くの食品を食べないようにする(除去する)ことは、栄養不足につながり、健全な発育を妨げかねません。また鶏卵アレルギーで鶏肉を食べないなど、除去に関する誤解も散見されます。

「除去」は必要最小限に

 以前は、食物アレルギーの原因になりやすい食物は避けるべきだとされてきましたが、各国で研究が進み、10年ほど前から考え方が変わりました。国内でも昨年10月、「食物アレルギー診療ガイドライン」が5年ぶりに改訂され、「できるだけ食べさせること」に重点が置かれています。必要なのは、「医師の正しい診断に基づいた、必要最小限の除去」です。
 また、原因になりやすい食物の摂取時期を遅らせたとしても、発症予防にはつながらないことも世界的な共通認識となっています。
 近年、アレルギーへの感心が高まり、健康診断のような感覚で血液検査を希望される方がいますが、不適切な除去につながる恐れがあり、おすすめできません。食物摂取に関連した誘発症状を経験したり、標準的なスキンケアを行っても湿疹が治らなかったりといった場合に限定すべきです。食物アレルギーの診断は、病歴から医師が確定的であると判断した場合を除き、食物経口負荷試験が最も確実な診断法です。
 しかし、実際に食べてみて反応を観察する検査ですから、時間がかかりますし、強いアレルギー症状が出る可能性もあります。そのため実施できる施設も限られているのが現状です。
 そこで重要なことは、きちんとした病歴の把握です。食物アレルギーの有無は問診だけでかなりの予測が可能です。正しい診断を受けるためには、必要な情報をできるだけ正確に医師に伝える必要があります。受診の際は、疑いがある食物と食べた量を記録したメモや、気になる症状が出たときの写真を持っていくといいでしょう。

 飯塚病院では、かかりつけ医と連携し、食物アレルギーの診療体制を整えています。子どもたちが安心して楽しく食べられるよう、多職種(看護師、薬剤師、管理栄養士など)で支援します。気軽にご相談ください。

関連記事