花粉症

花粉飛散の様子

  • 2018.02.28
漢方診療科 部長 田原 英一 医師
漢方診療科 部長 田原 英一 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



花粉症

西日本新聞 2013年2月6日朝刊掲載

Q. 花粉症に効く漢方薬はありますか?

A. 花粉症の季節が目前です。少し過敏な方はもう症状が出ているかもしれません。
 花粉がアレルギーの原因物質(アレルゲン)となって起こるアレルギー性鼻炎を花粉症と呼んでいますが、特にスギ花粉に過敏な方が多いため、春先に患者が急増します。最近はさまざまな抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬などが使用されるようになっていますが、抗ヒスタミン薬には眠気を伴うことが多いため、頭脳労働や運転に携わる方などは使いにくいのが現状です。また、これらの治療は基本的に症状を軽減させる対症療法で、治癒へと導く根本治療とは別物です。
 漢方医学ではもともと体に水分がたまりやすい体質(水毒体質)の人が、外からの刺激で鼻水という症状を発現していると考えます。

時期や体質で治療考え


イメージ:花粉症に効く漢方薬一覧

 花粉症の初期はアレルギー細胞からのヒスタミン放出による鼻粘膜の滲出性の炎症、要するに水鼻の時期であり、小青竜湯や越婢加朮湯などの麻黄含有方剤や、黄連解毒湯や白虎加人参湯などの炎症を鎮める作用の強い清熱剤などが選用されます。
 慢性期になりますと各種炎症性物質を介して好酸球などの炎症細胞が鼻粘膜に浸潤し、増殖性変化が起こり閉塞機転となる、つまり鼻閉(鼻詰まり)が主となってきます。その場合は長引いた風邪など亜急性~慢性の炎症の治療薬である柴胡剤(柴胡桂枝乾姜湯など)や、増殖性変化に対して駆瘀血剤(桂枝茯苓丸など)などがしばしば用いられます。最近は生活習慣の変化により、身体の新陳代謝が落ちた、冷えを内在した方も多く、麻黄附子細辛湯などの温める薬でないと対応が難しい場合も増えています。
 こうした漢方薬は眠気は生じません。花粉症のどういう時期か、もともとの体質がどうであるかによって、漢方医学的な治療方針が変わりますので、現代医学的な治療で十分な効果が得られない場合や、副作用の眠気などが心配な場合は是非、漢方医にご相談ください。もちろん西洋医学との併用も可能です。漢方治療は局所の症状を軽減させる対症療法であると同時に、もともとの水毒体質も改善していく、根本治療の側面を併せ持っています。
 漢方薬はまずい?苦い?いえいえ、花粉症の季節、合っている薬は飲みやすいものです。季節が過ぎて飲みにくくなってきたら止めるか変更する時期です。えっ?漢方薬が効かなかった…。その時は鼻水を止めるため、私の人さし指と中指をお使いください(笑)。

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