過活動ぼうこう

手術の様子

  • 2018.02.21
泌尿器科 部長 中島 雄一 医師
泌尿器科 部長 中島 雄一 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



過活動ぼうこう

西日本新聞 2016年11月2日朝刊掲載

Q. 私は1日10回くらいトイレに行っています。「頻尿」と言う言葉を聞きますが、何回くらい排尿すると頻尿なのでしょうか。尿の回数が多いと、身体になんらかの病気が隠れているのではないかと心配にもなります。

A. 飯塚病院が9月15日に開催した「第36回地域医療サポーター養成講座」で、排尿異常についてお話した際に、参加者からいただいた質問です。
 日本では一般的に、正常なトイレの回数の目安は1日に7、8回とされています。10回以上の場合を治療の対象となる「頻尿」と捉えます。
 頻尿ではなくても、「急に尿意を感じ、我慢が難しいことがある」「尿が我慢できず、漏らすことがある」といった症状がある方は「過活動ぼうこう」と言う病気である可能性があります。これらは年齢や体質のせいだと思われがちですが、いずれも過活動ぼうこうの代表的な症状です。
 2003年の調査によると、40歳以上の日本人の12.4%(現在の人口構成換算で約1,040万人)が過活動ぼうこうの患者、あるいは潜在患者であると推定されています。しかし、医療機関を受診する方は少なく、特に女性は生活に影響が出ていても、「恥ずかしい」などの理由から、受診する方は7.7%に過ぎないとの報告もあります。
 過活動ぼうこうは、脳や脊椎の疾患が原因となる「神経因性」と、加齢や骨盤底筋の脆弱(ぜいじゃく)化、メタボリック症候群が原因となる「非神経因性」に分けられます。特に最近では、メタボリック症候群などの生活習慣病との関連が注目されています。
 実は過活動ぼうこうに対する直接的な予防法はありません。しかし、交感神経系の活性化が進むと、臓器血流障害や前立腺細胞増殖をもたらすことが知られています。塩分の過剰摂取、喫煙、過度な飲酒、運動不足など、肥満やメタボリック症候群につながる生活習慣を改善することで、予防に努めましょう。また、ぼうこうの炎症も過活動ぼうこうの発生に関連する可能性があります。

イメージ:頻尿


がまんできない尿意は要注意!

 自信で過活動ぼうこうの傾向を感じた方は、以下の四つのポイントに気を付けてください。

  1. 過剰な水分摂取、寒い環境で長時間過ごすことを避ける-。トイレ回数の増加を避けるためです。
  2. 便秘を予防する-。ひどい便秘により尿が出にくくなることがあります。
  3. 家ではトイレを少し我慢する-。尿失禁を心配して早めにトイレに行く習慣がつくと、ぼうこうにためられる尿の量が少なくなります。
  4. 骨盤底筋を鍛える-。尿失禁予防のため、尿道を締める力を強化しましょう。

 3については、尿意を感じたら、まずは5分我慢してください。その後、10分、15分と、1ヶ月ごとにゆっくりと排尿間隔を延ばしましょう。ただし、尿意を我慢し過ぎるとためた尿により伸びたぼうこうがその状態のまま元の大きさに戻らなくなることもあるため、目安として1回の排尿量が400ml以下になるよう間隔を調整してください。
 過活動ぼうこうは早期に発見し、適正にコントロールすることが大切です。症状に心当たりがある方や心配に思われる方は、まずはかかりつけの医師に相談してみましょう。

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