膵臓がん ~治療経験多い施設 受診を~

手術の様子

  • 2018.1.17
副院長・外科統括部長 梶山 潔 医師
副院長・外科統括部長 梶山 潔 医師

飯塚病院の医師をはじめとするスタッフが、医療に関する情報や病気の予防法などを分かりやすく解説する西日本新聞の連載「あなたのカルテ」の転載です(西日本新聞筑豊版 毎週水曜日連載中)。



膵臓がん

西日本新聞 2017年8月16日朝刊掲載

Q. 膵臓がんは、現代でも最も治りにくいがんだと聞きましたが、膵臓がんの現状や最新の治療などを教えてください。膵臓がんになったら、どうしたらいいでしょうか?

A. 近年膵臓がんは男女ともに増加しています。2015年にがんで亡くなった人の中で、膵臓がんは男性の5位、女性の4位、全体で4位でした。国立がん研究センターがん情報サービスによると、06年~08年の診断例での5年相対生存率(がんから治る確率)は、男性で7.9%、女性で7.5%と、多くのがんの中で唯一、いまだに10%以下という非常に厳しい状況です。このため、ご指摘のように膵臓がんは「21世紀に残された最後の難治性癌の一つ」と言われています。
 日本膵臓学会から出版された「膵癌診療ガイドライン16年版(第4版)」でも外科的切除が唯一の根治(完全に治ること)を目指せる膵臓がんの治療法で、第一選択であることには変わりません。
 ただ、切除率(きちんと手術で癌を取りきれる)は20~40%程度で、手術できる人は三人に一人ほど。術後の再発率も高く、手術ができた人でも5年生存率は10~20%という厳しい現状です。
 一方で、術前や術後に化学療法(抗がん剤治療)を行うことにより、膵臓がんの治療成績も少しずつ改善してきています。当科でも手術後に再発防止の目的で半年から1年くらい補助的に化学療法を受けてもらっています。少し専門的になりますが、13年に4種類の抗がん剤 を使うFOLFIRINOX療法が、14年にはゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用療法が、日本でも保険診療として行えるようになりました。
 これらは現在の世界標準であり、当院でもこれらの化学療法を行い、当初手術ができなかった患者さんでも手術ができるようになることもあります。新たな治療法を導入した集学的治療(手術+抗がん剤+放射線治療等)により、まだまだ厳しいものの、今後治療成績の向上が期待されています。

膵癌治療のアルゴリズム


治療経験多い施設 受診を

 大事なことは、膵臓がんになったら、膵臓がん治療の経験の多い施設で治療を受けるということです。以前から、「膵癌診療ガイドライン」では経験の多い施設での手術を推奨しています。当院は、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設A(全国111施設、福岡県内5施設)です。来年度は日本膵臓学会で認定制度が始まり、当院も申請する予定です。これらはともに膵臓がん治療の経験が豊富でなければ認定されません。
 インターネット上では、さまざまな情報があふれ、実は適切な情報を得ることは結構難しいです。国民の強い要望や国の方針もあり、学会などの公的な機関が適切な病院を認定し、開示していくことは意義があると思います。膵臓がんでお困りの方は、是非一度当院を受診されることをお勧めします。

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