腎臓内科

部長 武田 一人

TEL 0948-29-8039(外来直通)

診療科の特徴

紹介

 腎臓病は、一般的に馴染みが薄く、発生頻度も低く、理解がやや難しい病気であり、腎不全末期状態にならないと自覚症状が出ません。学校検尿や職場検診で初めて蛋白尿や血尿を指摘されても、何ら症状がないために放置してしまい、その後、感冒などを契機に受診した際に、血圧が高い事や腎機能低下を指摘されて慌てる事になります。当院腎外来では、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症の初期段階から、腎障害は進行しても症状のない保存期腎不全期、さらに貧血や倦怠感が出現する高度の腎不全状態に至るまで、幅広く担当しております。また外来で十分な時間をかけて、理解しやすいようにわかりやすい説明を心掛けております。慢性透析患者は、日本全国で約30万人に達し、なかでも九州地区は、腎不全の発症頻度、増加率ともに日本で上位であり、新規導入患者数増加の抑制が急務となっています。当科では比較的症状の少ない保存期慢性腎不全(CKD3-5)の時期から腎不全進行を遅らせる治療を積極的に取り入れ、現在、約1,100~1,300名/月の外来患者さんを管理しています。一方、高血圧症、高脂血症、糖尿病や内臓脂肪蓄積(メタボリック)症候群の生活習慣病が増加、本来は腎疾患は軽症なのに高血圧症、高脂血症や肥満のために腎不全へ移行、進行するケ-スが近年激増しています。自己血圧、体重管理の重要性を説明しながら、最新の情報を医師だけでなく看護師や管理栄養士から、わかりやすい指導を行なっています。治療食に関して、低蛋白食、減塩、減カリウム食について、当院管理栄養士から最新かつ重要な情報やレシピ、各患者さんに即した栄養指導を提供しており、月曜から金曜日まで、月1回、定期的に腎外来でその指導を受ける事が可能となっています。食事療法は、制限だけでなく、良好な栄養状態を保つ事も大切です。現在、透析導入第一位の糖尿病性腎症については、当科ではごく初期の微量アルブミン尿の時期から血清クレアチニン値だけでなく、内分泌・糖尿病内科と協力して早期から集学的な治療を行っていますが、早期腎症で、腎不全なく、積極的に治療を行えば60~80%以上の寛解を示しています。受診の際には気兼ねなくスタッフに御相談されてください。脱水症、感染症、各種薬剤投与や外科手術後に急激に腎機能が障害される急性腎不全はその影響が全身に及び合併症も多く、急速に重篤な状態になります。救急部との連携で腎機能回復率はかなり向上していますが、素早い対応と早期の治療開始が望ましいと考えられます。不幸にして末期腎不全治療(慢性透析や腎移植)を開始された患者さんに対して、血圧や体重管理を厳重に行い、当科では、非常に良好な成績を収めています。腎臓病や高血圧症などの生活習慣病は患者さんの日頃の厳重な自己管理が何より大切であり、習慣化し、患者自分自身が工夫できる自己管理を目指しています。我々は充分な証拠に基づく医療(EBM)に立脚して、最先端の医療情報や当科での良好な治療成績を提供するだけでなく、医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、臨床工学技士、ソーシャルワーカーらの医療チームによって、患者さんにわかりやすく安心感のある医療を提供し、患者さんの自己管理を支える働きかけを絶えず行っています。

診療概要

 腎疾患全般と高血圧、糖尿病性腎症、膠原病などによる2次性腎疾患治療を含めた腎疾患専門総合医療を行っています。仕事内容は以下のとおりです。

  1. 慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群に対する経皮的腎生検を含めた原発性腎疾患の評価、膠原病や高血圧による続発性腎疾患の診断と治療
  2. 保存期慢性腎不全に対する集学的治療(管理栄養士、看護師とのチーム医療:血圧管理、RAS系阻害剤による治療、低蛋白食などの腎不全食による透析回避、透析導入延期のための総合的治療)
  3. 末期腎不全治療-血液透析、CAPD(持続的携行腹膜透析)
  4. 慢性透析患者のシャントトラブルに対するPTA(経皮的血管拡張術、ステント留置)や内シャント再建手術(自家静脈、人工血管)
  5. 慢性透析患者の合併症の入院管理と治療(他科入院の透析患者の副主治医)
  6. 急性腎不全症例に対する各種血液浄化治療、自己免疫疾患に対する血液吸着、血漿交換療法
  7. 九州大学付属病院との提携で腎移植治療への紹介
  8. IgA腎症に対する扁桃腺摘出術+ステロイドパルス療法(すでに論文化)
  9. 入院中の患者さんに「腎臓病教室」で医師、看護師、管理栄養士によってレクチュア-を施行
  10. 慢性腹膜透析患者への合併症の治療
  11. 院内の腎疾患、腎不全症例の他科からの相談、コンサルト(900~1,000件/年)
特色
  1. 高年齢の原発性ネフローゼ症候群や膠原病からの腎疾患は、合併症が多く、死亡率は高いことが指摘されています。高齢者のネフローゼ症候群では急性腎不全の合併が多く、独自のプロトコールを施行して、生存率や寛解率がかなり向上して、死亡率はかなり低下しています。また他の内科との連携で、合併症に対しても、多様な数多くの治療選択が可能です。たとえば慢性関節リウマチからのアミロイド腎症に対して、生物活性薬と免疫抑制剤、RAS阻害剤の組み合わせで尿蛋白が陰性化する事をすでに学会で報告しています。ループス腎炎では、90%以上と高率に寛解導入ができ、平成22年以降慢性腎不全へ移行した新規導入例は0となっています。
  2. 透析導入を大幅に延長させる保存期慢性腎不全の集学的治療にも力を入れており、管理栄養士と連携して食事療法(減塩、カリウム制限、低蛋白食)の指導や慢性腎不全患者の降圧治療(平均119/78mmHg)を行っております。保存期腎不全外来の総外来患者数(1,100~1,300名/月)や成績(2年間の維持はほぼ95~98%)で、全国的にトップクラスを誇っています(CKD-JAC)。月~金、週5日で保存期腎不全外来(特殊外来)を行っており、1日蓄尿の分析結果に基づいて、担当の管理栄養士から毎月1回、腎外来待ち時間に腎不全の栄養指導を受ける事ができます。糖尿病性腎症についても、尿蛋白量の少ない腎症早期から治療介入を開始して、非常に良好な成績を収めています。
  3. 慢性透析患者は、日本全国で約30万人に達し、九州地区は、腎不全の発症頻度、増加率共に日本で上位を占めております。透析時間と生命予後の関係は明らかで、筑豊地区では以前12時間/週であった透析時間が、現在15時間/週が主流となりました。それにも当科の貢献は大きいものがあります。不幸にして末期腎不全治療(慢性透析や腎移植)を開始された患者さんに対しても、血圧や体重管理を厳重に行い、当科では、外来透析へ移行した患者さん全体で年間粗死亡率は3%未満(日本の平均は8~9%)と非常に良好な成績を収めています。
  4. シャントトラブルに対するPTA(経皮的カテーテル拡張術)療法は、手術せずに一泊の短期間の入院で済むため、紹介患者数が増加しています。しかしカテ-テル治療で不成功となれば、内シャントの再建手術での修復(自家静脈、人工血管)を行っています。
  5. 慢性透析の合併症入院の患者さんは、入院原因となった治療を行う担当科に入院しますが、患者さんのより安全な治療継続のため、当科の医師が、透析主治医として、患者さんに治療全般に関与しております。
  6. IgA腎症に対して、両側扁桃腺摘出術+ステロイドパルス療法を行っており、九州地区では最も早期から導入して良好な寛解率(70~80%)をあげ、日本腎臓学会総会に報告し、論文化しています。
  7. 急性腎不全や慢性腎不全の急性増悪に対する血液浄化療法や透析療法は、腎病棟の病棟透析室で血液透析を施行し、血液浄化センターで、血液吸着、血漿交換等を施行しています。
  8. 毎年1~3名の腎移植予定患者さんを九州大学病院、腎移植チームに紹介しております。

 当科は日本腎臓学会研修認定施設、日本透析医学会認定施設、日本高血圧学会認定施設です。日本腎臓学会総会、日本内科学会総会、日本透析医学会総会、西部腎臓学会、日本高血圧学会、日本リウマチ学会、日本腹膜透析研究会、九州透析研究会、九州CAPD検討会、国際学会には、国際腹膜透析学会(ISPD)、ヨ-ロッパ透析移植学会(EDTA)、アメリカ透析学会(ADC)、アメリカ腎臓学会(ASN)等に報告しております。

腎臓内科News&Topics

  1. 2016年4月より、堀之内瑠美医師が後期研修医として加わりました。当科の後期研修医は米谷拓朗医師、前園明寛医師、中嶋崇文医師の総勢4名となりました。
  2. 2016年3月で、相良理香子医師が九州大学へ転出し、菅原宏治医師が開業のため退職し、4月より平川亮医師が九州大学病態機能内科学講座 腎臓研究室より派遣され、医師数は変化なく10名体制を維持しています。(2016年4月末現在)
  3. 2016年2月26日~3月2日オーストラリア、メルボルンで開催された国際腹膜透析学会(ISPD)において、医師が3演題を発表し、看護部門では山田靖子糖尿病認定看護師が発表しました。また、同時期にシアトルで開催されたアメリカ透析学会(ADC)においては、医師が2演題を発表しました。
  4. 15年間の当科診療における腎不全症例の臨床データを「腎臓内科データベース」へ移行する作業を引き続き行っています。すでにUMINには登録済みです。今後当科の臨床研究に大きく寄与すると思われます。
  5. 2016年9月にはアジア太平洋腎臓会議(APCN)、11月にはアメリカ腎臓学会(ASN)、2017年3月にはアメリカ透析学会(ADC)にて演題発表予定です。

このページの一番上へ

スタッフ紹介

スタッフ紹介はこちら

このページの一番上へ

外来担当スケジュール

詳細はコチラ

腹膜透析外来(月曜・水曜・木曜(隔週)・金曜(隔週))

このページの一番上へ

2015年診療実績

  1. 総入院数 893例
  2. 新患紹介数 185例
項目 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合計
1 外来患者数 1,496 1,271 1,446 1,530 1,356 1,474 1,539 1,373 1,434 1,483 1,426 1,584 17,412
2 外来透析患者数(延べ)
1,322 1,136 1,250 1,254 1,237 1,229 1,310 1,237 1,199 1,264 1,258 1,255 14,951
3 総入院数 70 77 88 73 70 70 84 77 75 62 79 68 893
4 新患紹介数 12 13 18 14 20 19 18 12 8 14 22 15 185
5 院内新患紹介数
(紹介状があるもの)
53 62 68 54 45 87 71 48 49 55 37 30 659
6 シャント、テンコフ、
アンルーフィング手術
6 11 13 8 4 7 13 12 8 3 5 3 93
7 PTA
(血管結紮術、その他)
11 8 8 12 8 9 13 18 7 6 11 12 123
8 年間死亡患者数 2 2 1 2 1 2 2 2 1 1 1 1 18
外来患者数(合計) 2,972 2,580 2,892 2,947 2,741 2,897 3,050 2,779 2,781 2,888 2,839 2,968 34,334
専門医、認定の修得件数
1 日本内科学会認定内科医 9名
2 日本内科学会総合内科専門医 3名
3 日本内科学会指導医 1名
4 日本透析医学会専門医 5名
5 日本透析医学会指導医 3名
6 日本透析医学会評議員 1名
7 日本腎臓学会専門医 4名
8 日本腎臓学会指導医 3名
9 日本高血圧学会専門医 2名
10 日本高血圧学会指導医 2名