外科

副院長・統括部長 梶山 潔

TEL 0948-29-8137(外科外来直通)

外科オリジナルホームページへ

診療科の特徴

 当院は医療圏人口約43万人である福岡県筑豊地域の基幹病院であり、当科では、「地域がん診療連携拠点病院」として、消化管(食道、胃、腸)、肝胆膵、乳腺等のがん診療の中心的役割を果たしています。各種診療ガイドライン等に沿って、エビデンス(科学的根拠)に基づいた診療を行っています。九州でも有数の診療実績を誇り、がんの患者さんを中心に年間1,200例以上の手術(図1)を行い、また、がん化学療法を年間のべ2,400件以上施行しています。現在は、「消化管チーム」、「肝胆膵チーム」、「乳腺チーム」に分かれ、各専門医・指導医を中心に専門性の高い医療を提供しています。
 また、当院救命救急センターは救急車搬入年間8,000件前後と筑豊地域の救命救急医療の要でもあり、連動して当科も24時間体制で腹部救急疾患の患者さんへの対応を行っています。

(図1)当科[消化器・乳腺・一般外科]の年間手術数 推移
(呼吸器外科手術、心臓血管外科手術、小児外科手術を含まない)

1.診療チームのご紹介

[1]消化管チーム

 甲斐正徳、古賀 聡、木村和恵、由茅隆文、笠井明大を中心に、数多くの手術を行っており(図2)、患者さんに優しい医療に配慮しながら、その根治性を追求しています。
 食道がん治療では、化学放射線療法など積極的に集学的治療も行い、良好な治療成績を残しています。日本食道学会食道外科専門医でもある木村和恵診療部長が中心となって、診療を行っています。胃がん・大腸がんにおいても、手術および化学療法により多くの患者さんの治療をさせていただいています。
 手術数ですが、2017年3月に出版された週刊朝日MOOK「手術数でわかるいい病院2017」(朝日新聞出版)によると、胃がん手術数は九州3位、大腸がん手術数は九州4位と九州でもトップクラスの実績を誇っています。
 また、近年は、いわゆる“体に優しい[低侵襲](体への負担が少ない)”とされる内視鏡下手術も積極的に導入しています。2016年は、胃がん手術の約68%、結腸がん手術の約65%を腹腔鏡下手術で行うようになり、増加傾向です。しかしながら、筑豊地域には進行した胃がんや大腸がんの患者さんも多く、従来どおりの開腹手術もまだ多いのが実情です。特筆すべきことの一つに、当科には日本内視鏡外科学会技術認定医が2名在籍しています。合格率約30%と非常にハードルの高い資格ですが、安全性の高い内視鏡下手術を提供することができるという証だと思っています。
 手術、抗がん剤治療、放射線治療ががん治療の3本柱ですが、この全てを行っていく「集学的治療」は、極めて重要な診療です。手術で多忙な毎日ですが、前述のごとく消化器がん・乳がんに対しての術前術後の化学療法(抗がん剤治療)のほとんどは、当科で行っています。

(図2)消化管手術推移

このページの一番上へ

[2]肝・胆・膵チーム

 梶山 潔、皆川亮介、萱島寛人を中心に診療を行っています。当科における肝胆膵がんの手術は非常に多く(図3)、前述の「手術数でみるいい病院2017」では、九州5位、また「病院の実力2017 総合編」(読売新聞社)によると肝がん手術数は九州5位の実績でした。膵がん等に行う膵頭十二指腸切除術(PD)は、8年続けてハイボリュームセンター(PD年間20例以上)であり、ハイボリュームセンターでの膵臓手術は、症例の少ない施設に比べ合併症が少なく生命予後も良いと報告されています。
 しかしながら、この領域のがん治療成績は全国的にも決して満足すべきものではありません。当科では、化学放射線療法を含む集学的治療を積極的に行い、治療成績の向上に努力しています。また、当院肝臓内科、消化器内科、画像診療科(放射線科)とのチームワークは極めて良好で、毎週合同カンファレンス(症例会議)により、診断や治療方針につき一人ひとりの患者さんについて各専門医が議論しながら診療を進めています。
 当科は日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設A(福岡県で5施設、全国で111施設)であり、数多くの難しい肝胆膵がんの手術も安全に行っています。

(図3)肝胆膵手術症例数推移

このページの一番上へ

[3]乳腺チーム

 全国に約1,200名しかいない日本乳癌学会乳腺専門医である武谷憲二医長を中心に、診療を行っています。現在、乳がんの治療は、大変進歩しており、常に世界の最新情報を入手し、世界基準の治療をすることが求められています。患者さん一人ひとりに緻密でシステマティックな治療方針を提示され、手術療法、化学療法、放射線療法と集学的治療を積極的に行っております。手術や化学療法など症例は増加傾向です。(図4)。また、前述の「手術数でみるいい病院2017」では、手術数で九州15位の実績でした。

 以上、手術数を中心に当科の診療実績を述べさせていただきました。なぜ、この手術数を強調するかと言いますと、「手術数は外科診療の質を表す重要な指標のひとつ」と考えるからです。もちろん、手術数が多ければそれでいいという訳ではありません。当然のことですが、一人ひとりの患者さんを丁寧に細心の注意を払いながら診療する事が最も重要であると考えています。しかしながら、一方では、以下のごとく、国内外で「手術数が多い病院の方が、少ない病院よりも治療成績が良い」という報告があることも事実です。

(図4)乳腺手術症例数推移

  • 米国における病院の手術件数と術後死亡率の調査によると、すべての手術に関して、病院の手術件数の増加に伴い死亡率が減少した。特に有意な差がみられたのがすい臓の切除術であった。胃の手術と比較してもすい臓の手術は難しいといわれており、手術件数が非常に少ない病院(年間2症例以下)と手術件数が非常に多い病院(年間16症例以上)の死亡率の差は、12%以上であった。 (16.3% vs 3.8%)(J.D. Birkmeyer and others, New England Journal Of Medicine, 2002.4.11)
  • “がん生存率 治療件数で差:大阪府内330病院7万人調査(1994~98年)「肝臓」で3倍以上の開き”
    読売新聞によると、大阪府立成人病センターのグループが、肺、肝臓、胃など13種類のがんについて、治療件数が多い病院ほど、治癒の目安となる患者の5年後の生存率が高くなるという調査を発表したことについて報道している。このほか食道がんなどでも、死亡の危険性は治療件数が少ない病院ほど高かった。「手術に高い技術が求められる肝臓・食道がんや、手術だけでなく放射線治療、化学療法も必要となるがんなどで、特に病院間の格差が大きいようだ」と分析されている。(読売新聞平成19年5月12日)
  • 米国医学雑誌Amerian Journal of Public Healthによれば、乳がんの手術例数の多い病院の方が、初期乳がんの治療成績が良好であることが報告された。(Gilligan MA, Am J Public Health. 2007;97:539-44)
  • 米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)という患者データベースを用いた分析で、乳がんの手術数と5年生存率を比較。その結果、症例数の多い施設は最も少ない施設に比較して、全ての原因の死亡、乳がんによる死亡が有意に少ないことが報告された。すなわち、乳がんの手術数の多い施設ほど治療成績が良好であることが示された。

 当科は、日本外科学会指定施設、日本消化器外科学会認定施設、日本食道学会準認定施設、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設A、日本胆道学会認定施設、日本乳癌学会認定施設、日本臨床腫瘍学会認定研修施設、日本がん治療認定医機構認定研修施設等となっています。

(注) 学会の認定施設、関連施設、修練施設、研修施設などは、その施設において、各学会の定める一定数以上(手術数、検査数、治療数など)の患者さんの診療を行い、専門医や指導医等が在籍しなければ、取得できません。)

このページの一番上へ

2.低侵襲治療センター

 2013年に新棟がスタートし、同時に「低侵襲治療センター」が開設されました。当科は今以上に内視鏡下手術を積極的に導入し、虫垂炎、ヘルニア、胆石等の治療に「日帰り手術」を取り入れていこうと考えております。しかしながら、高齢者の患者さんが多い筑豊地域ですので、無理な内視鏡下手術は厳に慎み、患者さんのご要望を十分聞かせていただき、満足度の高いものにしていきたいと思っております。

3.腹部救急外科

 当院は救急車搬入年間約8,000台と筑豊地域の救命救急医療の要でもあり、当科も24時間体制で腹部救急疾患の患者さんへの対応を行っております。年間約300例の緊急手術を行っており、上部・下部消化管穿孔、汎発性腹膜炎、腸閉塞、敗血症、急性虫垂炎、急性胆嚢・胆管炎、腸管虚血症など極めて多彩な疾患に対応しています。他院から搬送される患者さんも多く、筑豊地域約43万人の腹部救急外科の中心であることは間違いありません。

4.患者さん並びに地域の先生方へ

 前述のごとく、当科は筑豊地域全体から大変多くの患者さんが受診されます。当科としましても最大限の努力をしていますが、患者さんの外来待ち時間が大変長くなったり、入院・手術までお待たせしたりすることもあり、私どももいつも申し訳なく思っています。患者さんやご紹介いただいた地域の先生方にも大変ご迷惑をおかけしており、この場をお借りして深くお詫び申し上げます。
 2013年に新棟がオープンし、外科外来も新しくなりました。また、手術室も増設されましたので、外来受診の待ち時間、手術までの待ち時間が少しでも短縮できるのではないかと考えています。
 今後も現状の改善に最大限努力してまいりますので、患者さん、ご家族、並びにご紹介いただきます地域の先生方には、ご理解とご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。

このページの一番上へ

News&Topics

  1. 近年、患者さんへの体の負担(侵襲)を少しでも減らすため、内視鏡下(腹腔鏡下)手術が積極的に導入されてきています。当科には、筑豊地域でも数少ない日本内視鏡外科学会内視鏡外科技術認定医(合格率約30%)が2名在籍しており、早期の胃がん・大腸がんに対し、質の高い腹腔鏡下手術を導入しています。
  2. 当科には日本食道学会食道外科専門医(福岡県下16名、九州29名)が在席しており、質の高い診療を行っています。
  3. 肝胆膵がんにおいては、当科は全国に111、福岡県に5つ、そして筑豊唯一の専門施設(日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設A)であり、高難度の手術を数多く行っています。また、腫瘍の状態によっては、患者さんの体への負担(侵襲)が少ない、腹腔鏡下肝切除術、腹腔鏡下膵切除術も行っています。
  4. 乳がん診療においては、全国で約1,200名しかいない「日本乳癌学会乳腺専門医」が当科には在籍しています。現在では専門性が非常に高くなった乳がん治療ですが、最新の治療を行っています。
  5. 当院には、消化器内科、肝臓内科、腎臓内科、画像診療科(放射線治療)、集中治療部、精神科など41の専門科があり、多くの専門医が在籍しています。患者さんも近年高齢化しており、様々な基礎疾患を持たれています。外科手術は大きな侵襲になることもあり、治療の成否には術後合併症をいかに制御するかが非常に重要です。当院では、このような専門家集団が連携したチーム医療が充実しています。

このページの一番上へ

スタッフ紹介

スタッフ紹介はこちら

このページの一番上へ

外来担当スケジュール

詳細はこちら

このページの一番上へ

2016年診療実績

消化器・乳腺・一般外科 手術内容(一部抜粋)

総手術数(手術室内施行)1318例、 うち急患手術 300例(22.8%)

手術術式 症例数 疾患 症例数 術式 症例数[鏡視下]
乳腺手術 139 乳がん 124 乳房切除 123
食道手術 34 食道がん 31 食道切除 31[30]
胃十二指腸手術   145 胃がん 125 胃全摘 26[6]
胃部分切除 90[73]
その他 9[5]
小腸・大腸・直腸手術 431 結腸がん 147 結腸切除術 107 [69]
直腸がん 57 直腸切除術 70[61]
腹会陰式切断術 7[6]
虫垂切除術 78[76]
肝臓手術 83 原発性肝がん 59 肝切除術 89[18]
転移性肝がん 19  うち拡大胆嚢摘出術 6
胆道手術 197 胆道腫瘍 30 膵切除 38
胆嚢結石症 186  うちPD 31
膵切除 38 膵がん 26  うち体尾部切除 5[2]
胆嚢摘出術 195[182]
5     脾臓摘出術 8 [6]
ヘルニア手術 144 鼠径ヘルニア 100 鼠径ヘルニア根治術 100[26]
(疾患数、手術術式数に重複あり)
化学療法(抗癌剤治療)件数推移